保証契約は、お金を貸す、部屋を貸す、継続して商品を納める、仕事を請け負わせるといった別の契約の「支え」として置かれます。ところが民法は、保証人を守るために、書面がなければ効力が生じないこと(446条2項)、個人が保証人になる根保証では極度額を定めなければ効力が生じないこと(465条の2第2項)、事業のための貸金等債務の保証には公正証書による保証意思の確認が要ること(465条の6)などの規律を置いています。「連帯保証人は一切の債務を負う」と書けば足りる、という書き方は、この規律のもとでは通用しません。このガイドは、民法446条以下の条文と国の公表資料に沿って、保証の種類と名称の違い、書面の要件、連帯保証の効力、極度額と元本確定、保証する範囲と条件変更、事業の借入の公正証書、情報提供義務、賃貸借と継続的取引での書き方、保証人が払ったあとの求償、保証人の変更と解除、効力が争われる場面までを整理した解説です。税の扱いや、争訟の代理には立ち入りません。

保証人を付ける契約書を整えたい方

机の上に広げた書類に署名をしている手元

保証の型・書面・極度額・公正証書・情報提供の関係から決める

保証には、通常の保証、連帯保証、個人が保証人になる根保証、法人が保証人になる保証という型があり、型によって守るべき規律が変わります。書面の要件、極度額、公正証書、情報提供という4つの規律が、どの場面でどこに働くかを最初に押さえます。

保証契約は、お金を借りる契約や部屋を借りる契約とは別の契約です。主たる債務の契約書の末尾に署名欄を足すだけで足りるのか、別紙の承諾書にするのかも、書面の要件と合わせて決めます。

根保証の極度額を書く方

黒い机の上に置かれた電卓

極度額・元本確定期日・元本確定事由

賃貸借や継続的取引の「一切の債務」を個人が保証するときは、極度額を定めなければ効力が生じません。極度額は確定した金額で書面に書き、貸金等根保証では元本確定期日の定めにも条文の制約があります。

強制執行、破産、保証人や主たる債務者の死亡といった元本確定事由があると、その後に生じる債務は保証の対象になりません。極度額の決め方と合わせて整理します。

賃貸借の連帯保証人を付ける方

棚に並べた硬貨の山

極度額・更新・賃借人の死亡・敷金との関係

賃貸借の保証は、個人が保証人になる限り根保証であり、極度額が要ります。更新があったときに保証の範囲がどこまで続くか、賃借人が亡くなったときにどうなるか、敷金とどちらから充てるかは、条項で書き分けておきます。

保証人が亡くなった、資力を失ったといったときに代わりの保証人を求める条項も、保証人の変更の規律と合わせて整えます。

事業の借入や取引に保証人を求める方

財布から扇状に広げた紙幣

事業の借入の公正証書・継続的取引・代表者個人の責任

事業のために負担する貸金等債務を個人が保証するときは、契約に先立って公正証書で保証意思を確認することが要ります。理事・取締役や議決権の過半数を持つ人などの適用除外もあるため、保証人になる人の立場を先に確かめます。

継続的な取引や請負、業務提携で取引先の代表者個人に保証を求めるときは、「連帯保証」という名前を付けない個人責任の条項も、保証契約として書面の要件や極度額が問われます。

保証人に何を伝えるかを決めたい方

手に持った白い封筒

契約時・履行状況・期限の利益喪失の3つの場面

保証人への情報提供は、契約を結ぶとき、保証人から請求があったとき、主たる債務者が期限の利益を失ったときの3つの場面で、それぞれ別の条文が働きます。誰が誰に、いつまでに何を伝えるかが違います。

契約書に「説明を受けた」と確認する文言を置くことと、情報提供の義務を果たすこととは同じではありません。書面の置き方を整理します。

保証人の変更・解除や請求への対応を整理したい方

ノートに書き込んでいる手元

保証人の変更・差替え・解除と、効力が争われる場面

保証人が亡くなった、資力を失った、辞めたいと言われたとき、契約書に何が書いてあるかで対応が変わります。元本確定事由、代替の保証人の求め方、合意解除の書き方を、条文と合わせて確認します。

請求を受けたときは、書面の要件、極度額、公正証書、時効の4点を契約書の面から整理します。書き直しや追認の整理にも触れます。

このガイドの解説ページ

よくあるご質問

保証人と連帯保証人は何が違いますか?

通常の保証人には、債権者から請求されたときに「まず主たる債務者に請求してください」と求める催告の抗弁(民法452条)と、主たる債務者に財産があることを示して先に執行を求める検索の抗弁(453条)があります。保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担したとき、つまり連帯保証では、この2つの抗弁は適用されません(454条)。契約書に「連帯して」と書くかどうかで、保証人の立場が大きく変わります。

保証人になることを口約束やメッセージで承諾した場合も、保証は成立しますか?

保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。保証契約がその内容を記録した電磁的記録でされたときは、書面によってされたものとみなされます(同条3項)。主たる債務の契約書の末尾に署名欄があるだけの場合でも、どの債務を保証するのかが書面から読み取れるかが問われます。

連帯保証人の欄に極度額を書かないと、どうなりますか?

個人が保証人になる根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。賃貸借や継続的な取引のように、将来にわたって増減する債務をまとめて保証するものが典型です。極度額の定めは、書面または電磁的記録でしなければ効力を生じず(同条3項による446条2項・3項の準用)、確定した金額で書く必要があります。

事業のための借入に第三者が保証人になるときは、公正証書が必要ですか?

事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、契約の締結に先立ち、締結の日前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする人が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じません(民法465条の6)。保証人になろうとする人が法人である場合には適用されず、主たる債務者の理事・取締役、議決権の過半数を持つ人、共同事業者や事業に従事する配偶者などには適用除外があります(465条の9)。

保証人に対して、債権者や主たる債務者が伝えなければならないことはありますか?

場面ごとに別の条文があります。事業のために負担する債務の保証を委託するときは、主たる債務者が財産と収支の状況などを保証人になろうとする人に伝える義務を負い(民法465条の10)、委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は主たる債務の履行状況を伝えます(458条の2)。また、主たる債務者が期限の利益を失ったときは、債権者は知った時から2か月以内に個人の保証人へ通知しなければなりません(458条の3)。

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監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月22日