保証契約の全体像:四つの型と四つの規律の地図

保証契約は、貸付けや賃貸借、継続的な取引といった別の契約を支える、独立した契約です。書面、極度額、公正証書、情報提供という四つの規律が、保証人が誰で、どんな債務を保証するかによって、どこに働くのかを最初に整理します。

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「連帯保証人は一切の債務を負う」と書けば足りる、という書き方は、民法の保証の規律のもとでは通用しません。

このページの要点

  • 保証契約は書面でしなければ効力を生じない(民法446条2項)。電磁的記録でも可(同条3項)。
  • 個人が保証人になる根保証は、極度額を定めなければ効力を生じない(同465条の2第2項)。
  • 事業のための貸金等債務の個人保証には、公正証書による保証意思の確認が要る(同465条の6)。
  • 保証人が個人か法人か、債務が特定か不特定か、事業のためかで、働く規律が決まる。

結論:保証契約は「別の契約」であり、書面・極度額・公正証書・情報提供の四つの規律が場面ごとに重なる

保証契約は、お金を貸す、部屋を貸す、継続して商品を納める、仕事を請け負わせるといった別の契約(このガイドでは主たる債務を生じさせる契約と呼びます)の「支え」として置かれます。ただし、支えであっても法律上は独立した契約です。保証契約の当事者は、債権者と保証人の二人です。お金を借りる側である主たる債務者は、保証契約の当事者ではありません。この点を押さえないまま、貸付契約書や賃貸借契約書の末尾に署名欄を一つ足して済ませると、あとで「保証人は何に同意したのか」が争われる原因になります。

民法は、保証人が思いがけず重い責任を負う事態を防ぐために、保証に関する規律を段階的に置いています。大きく分けると次の四つです。

  • 書面の要件:保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。電磁的記録によってされた場合は、書面によってされたものとみなされます(同条3項)。
  • 極度額:保証人が個人で、一定の範囲に属する不特定の債務を保証する「個人根保証契約」は、極度額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。
  • 公正証書による保証意思の確認:事業のために負担する貸金等債務の保証は、契約に先立つ一定期間内に作られた公正証書で、保証人になろうとする人が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じません(民法465条の6第1項)。
  • 情報提供:事業のために負担する債務の保証を頼むときは、主たる債務者が保証人になる人に財産・収支の状況などを伝えなければなりません(民法465条の10)。契約後は、債権者にも履行状況や期限の利益の喪失を知らせる場面があります(民法458条の2、458条の3)。

この四つは、すべての保証に同じ強さで及ぶわけではありません。書面の要件は保証契約全般に及びますが、極度額は個人根保証に、公正証書は事業のための貸金等債務の個人保証に、というように、適用される場面が違います。このページでは、どの規律がどの場面で働くのかの地図を作り、続くページで一つずつ掘り下げます。保証人が個人か法人か、主たる債務が特定しているか不特定か、事業のための債務か否か、という三つの問いに答えれば、守るべき規律はおおむね決まります。

保証の基本構造:付従性と補充性という二つの性質

保証債務には、主たる債務との関係で二つの基本的な性質があると一般に説明されます。一つは付従性、もう一つは補充性です。条文に「付従性」「補充性」という言葉が書かれているわけではありませんが、条文の組み立てを理解する手がかりになります。

付従性とは、保証債務が主たる債務に従う性質です。たとえば、保証人の負担が債務の目的または態様において主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減らされます(民法448条1項)。また、主たる債務の目的または態様が保証契約の締結後に加重されても、保証人の負担は加重されません(同条2項)。保証人は、主たる債務者が主張できる抗弁をもって債権者に対抗することもできます(民法457条2項)。主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予と更新は、保証人にも効力を生じます(同条1項)。主たる債務が小さくなれば保証も小さくなり、主たる債務について生じた事由の多くが保証人にも及ぶ、という関係です。

補充性とは、保証人の責任が、主たる債務者が履行しないときにはじめて生じるという性質です。民法446条1項は「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」と定めます。この性質が具体的な形で現れるのが、催告の抗弁(民法452条)と検索の抗弁(民法453条)です。債権者が保証人に履行を請求したとき、保証人は、まず主たる債務者に催告するよう請求でき、さらに、主たる債務者に弁済の資力があり執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産について執行するよう求められます。

付従性と補充性に関わる主な条文(民法)

  • 446条1項
    保証人の責任主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
  • 447条1項
    保証債務の範囲主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
  • 448条
    保証人の負担の限度主たる債務より重いときは主たる債務の限度に減縮される。契約後に主たる債務が加重されても保証人の負担は加重されない。
  • 452条・453条
    催告の抗弁・検索の抗弁保証人は、まず主たる債務者に催告するよう請求でき、資力と執行の容易さを証明して先に執行を求めることもできる。
  • 454条
    連帯保証の特則主たる債務者と連帯して債務を負担した保証人は、452条・453条の権利を有しない。
  • 457条
    主たる債務者について生じた事由時効の完成猶予・更新が保証人にも及ぶ。保証人は主たる債務者の抗弁を主張できる。

条文は現行の規定に基づいています。

契約書の条項を書くときは、この二つの性質のどこまでを当事者の合意で動かすのかを意識します。補充性を外して債権者が保証人に直接請求できるようにしたものが連帯保証です(同454条)。一方、付従性の現れである448条などを、保証人に不利な方向へ契約で動かせるかどうかは、条文だけでは答えが出ません。保証人に不利な方向へ動かす書き方は、効力が争われやすいと見て、慎重に扱います。

保証の型の見取り図:通常の保証・連帯保証・個人根保証・法人保証

保証には、実務でよく使い分けられる型があります。型は、互いに排他的な分類ではなく、見る軸が違います。「連帯しているか」という軸、「保証する債務が特定しているか、一定の範囲に属する不特定の債務か」という軸、「保証人が個人か法人か」という軸の三つが重なります。たとえば「個人が保証人になる連帯保証の根保証」は、三つの軸がすべて重なった型です。

保証の型と、働く規律の違い(民法)

型内容主な規律
通常の保証主たる債務者が履行しないときに、保証人が履行の責任を負う。催告の抗弁・検索の抗弁がある。446条(書面)、447条、448条、452条・453条、457条
連帯保証保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する。催告の抗弁・検索の抗弁がない。454条、458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
個人根保証一定の範囲に属する不特定の債務を保証し、保証人が個人。極度額がなければ効力を生じない。465条の2(極度額)、465条の3(貸金等の元本確定期日)、465条の4(元本確定事由)
法人保証保証人が法人。個人保証人を守る規律のうち、適用されないものがある。465条の5(法人の根保証の求償権)、458条の3第3項・465条の6第3項・465条の10第3項の除外

「連帯保証」と「連帯債務」は混同されやすい言葉です。連帯債務は、数人が同じ内容の債務をそれぞれ自分の債務として負う関係で、条文は民法436条以下にあります。連帯保証は、保証債務という別の債務を、主たる債務者と連帯して負う関係です。この違いは保証人・連帯保証人・連帯債務者・保証会社などの違いを整理したページで詳しく扱います。

また、商取引では、主たる債務が主たる債務者の商行為によって生じたとき、または保証が商行為であるときは、主たる債務者と保証人が各別の行為によって債務を負担したときでも、その債務は各自が連帯して負担することになります(商法511条2項)。契約書に「連帯」と書いていない商取引の保証でも、連帯の関係になる場合がある、ということです。連帯保証の効力そのものは連帯保証の効力を条文で解剖したページで説明します。

四つの規律が働く場面:誰が、何を、どの保証で守られるのか

四つの規律は、保証人が誰か、どんな債務を保証するのかによって、働くか働かないかが分かれます。条文をたどると、次のような適用の違いがあります。

規律ごとの適用場面(民法)

規律働く場面働かない・例外
書面の要件(446条2項)保証契約全般。電磁的記録でも可(同条3項)。例外なし。口約束の保証は効力を生じない。
極度額(465条の2)個人根保証契約(保証人が法人でない根保証)。極度額の定めも書面または電磁的記録で(同条3項)。保証人が法人のとき。特定の債務の保証。
公正証書(465条の6)事業のために負担した貸金等債務の保証、または主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証。保証人になろうとする人が個人のとき。保証人が法人のとき(同条3項)。理事・取締役、議決権の過半数を有する者、共同事業者や事業に従事する配偶者などの適用除外(465条の9)。
契約締結時の情報提供(465条の10)事業のために負担する債務の保証、またはそれを含む根保証の委託をするとき。保証をする者が法人のとき(同条3項)。
履行状況の情報提供(458条の2)主たる債務者の委託を受けて保証をした保証人が請求したとき。委託を受けていない保証人。
期限の利益喪失の通知(458条の3)主たる債務者が期限の利益を喪失したとき、債権者が2か月以内に通知。保証人が法人のとき(同条3項)。

この表のうち、公正証書の要件(465条の6)は、主たる債務が貸金等債務(金銭の貸渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務。民法465条の3第1項に定義があります)である場合に限られます。賃貸借の賃料債務や売掛金の保証には、公正証書の要件は働きません。一方、契約締結時の情報提供(465条の10)は貸金等に限らず、「事業のために負担する債務」であれば足ります。賃貸借でも、事業用の建物の賃貸借であれば、465条の10の対象に入り得ます。ここは混同されやすい違いです。

四つの規律を一覧にすると、「保証人が個人で、事業のための借入を保証する」場面が最も規律の重なりが厚く、「保証人が法人で、特定の債務を保証する」場面が最も薄いと分かります。個人保証人を守る方向へ、段階的に規律が組まれているのです。

保証契約の書き方の骨格:書くべき項目の一覧

保証契約書は、主たる債務の契約書とは別の契約書にすることも、同じ契約書の中に保証の条項として入れることもできます。どちらの形でも、次の項目が、書面から読み取れるようにしておくのが基本です。条文は書面に書くべき項目を列挙していませんが、保証人が何を引き受けたのかが後から争われないよう、実務ではこのような項目を押さえます。

保証契約書に書いておきたい項目

  • 債権者・主たる債務者・保証人の名称と住所(当事者の特定)。
  • 保証する主たる債務の特定(どの契約から生じる、どの債務か。金額、期間、債務の範囲)。
  • 保証人が、主たる債務者が履行しないときに履行の責任を負う旨(通常の保証か、連帯保証か)。
  • 保証債務の範囲(元本、利息、違約金、損害賠償など。民法447条)。
  • 根保証のときは、極度額と、元本確定期日の定めの有無(貸金等を含むとき)。
  • 複数の保証人がいるときの関係(各自が全額を保証するのか、頭数で分けるのか)。
  • 事業のための貸金等債務の個人保証では、公正証書による意思確認を済ませたこと。
  • 保証人に伝えた情報(主たる債務者の財産・収支、他の債務、担保)と、その提供者。
  • 契約日、保証人の署名と押印(または電磁的記録の場合の本人性の確認方法)。

ここで大切なのは、主たる債務の特定です。「甲乙間の一切の取引から生じる債務」とだけ書くと、それがどこまで広がるのか、保証人は想像できません。一定の範囲に属する不特定の債務を保証する根保証は、個人が保証人のときは極度額が必要となり、極度額があっても、範囲の書き方次第で争いが生じます。範囲の限定の仕方は根保証と極度額の書き方のページで、保証債務の範囲と条件変更の扱いは保証する範囲と条件変更のページで扱います。

書き方の例(一般的な例) 保証人欄の書き方

当事者と保証の趣旨

よくある書き方末尾に「連帯保証人 氏名」とだけ書いて署名押印を求める。
整えた書き方「保証人は、債権者に対し、主たる債務者が負う○○契約に基づく債務について、主たる債務者と連帯して保証する」と、債権者・主たる債務者・主たる債務・連帯の旨を書いたうえで署名押印を求める。

理由保証契約は債権者と保証人の契約であり、何に対する保証かが書面から読み取れないと、書面の要件を満たすかどうかが争われる。

主たる債務の範囲

よくある書き方「主たる債務者の一切の債務について保証する。」
整えた書き方「令和○年○月○日付の○○契約に基づき、主たる債務者が負う元本、利息、遅延損害金及び違約金の支払債務について、極度額金○円を限度として保証する。」

理由特定の契約と範囲を示すほうが、保証人の意思も、債権者の権利も明確になる。根保証なら極度額が必須(民法465条の2)。

主たる債務の契約との関係:別の契約として扱う三つの場面

保証契約は主たる債務の契約と別の契約であることから、実務では次のような場面で、別の契約であることが表に出ます。

一つ目は、契約の成立時期の違いです。主たる債務の契約が成立しても、保証契約が書面で結ばれなければ、保証は効力を生じません。貸付けを実行したあとで「保証人の書面は後日」とした場合、その間の貸付けは保証のない状態です。保証を前提に貸し付けるなら、保証契約の書面が整ってから実行するのが筋です。

二つ目は、契約の相手方の違いです。主たる債務の契約は債権者と主たる債務者の間で結ばれ、保証契約は債権者と保証人の間で結ばれます。保証人が主たる債務者から頼まれて保証をするとき、主たる債務者と保証人の間にも委託の関係が生じ、保証人が払ったあとの求償に関わります(民法459条)。三者の関係が、三本の線で結ばれているわけです。

三つ目は、契約の変更の効力の違いです。主たる債務の契約を債権者と主たる債務者が変更しても、それで保証人の同意なしに保証が重くなるわけではありません(民法448条2項)。変更の合意を保証人に了承してもらう、あるいは保証契約の側で変更への対応を定めておく必要が出ます。この点は、保証人の「条件が変わっても異議なく同意する」という包括的な書き方の限界とも関わるため、別のページで取り上げます。

保証契約が効力を持つまでの基本の流れ

1主たる債務の内容を固める貸付け・賃貸借・取引など、保証の対象になる主たる債務の契約内容を特定する。
2保証人に情報を伝える事業のための債務なら、主たる債務者が財産・収支などを保証人になる人に伝える(465条の10)。
3必要なら公正証書を作る事業のための貸金等債務の個人保証は、契約前に公正証書で保証意思を確認する(465条の6)。
4保証契約の書面を作る書面または電磁的記録で、保証の趣旨・範囲・極度額などを記載(446条、465条の2)。
5保証人が署名押印する保証人本人の意思で署名し、内容を手元に残せるよう写しを渡しておく。

公正証書の要件は貸金等債務の保証に限られます。賃貸借や売掛金の保証には働きません。

法人が保証人になるとき、個人が保証人になるとき、契約自由の限界

保証人が法人(会社や一般社団法人など)である場合、個人保証人を守るための規律のうちいくつかは働きません。具体的には、期限の利益喪失の通知(民法458条の3第3項)、公正証書による保証意思の確認(同465条の6第3項)、契約締結時の情報提供(同465条の10第3項)が、保証をする者が法人のときには適用されません。個人根保証の極度額(同465条の2)も、「保証人が法人でないもの」が対象ですから、法人保証には働きません。

ただし、法人保証が何の規律も受けないわけではありません。法人が根保証をする場合、その法人の主たる債務者に対する求償権を個人が保証するときには、求償権の保証に関する規律が働きます。保証人が法人である根保証契約で極度額の定めがないときは、その保証人の求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約(求償権を個人が保証する契約)が効力を生じない、とされています(民法465条の5第1項)。保証会社が根保証をする賃貸借などで、保証会社の求償権を個人の親族が保証する場合に問題になる規定です。

契約書を作る側は、保証人の属性によって、使える書き方と必要な手続が変わることを意識します。同じ保証でも、保証人が個人の場合には書面・極度額・公正証書・情報提供の順で確認し、法人の場合には書面と求償権の規律を確認する、という順番になります。

属性による違いの前提として、契約自由の原則と書面要件の位置づけも確認しておきます。民法521条は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定できること、法令の制限内で契約の内容を自由に決定できることを定めています。また、民法522条2項は、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しないと定めます。つまり、契約は原則として口頭でも成立します。

保証契約の書面の要件(民法446条2項)は、この「法令に特別の定めがある場合」にあたります。保証は、保証人に重い責任が生じるにもかかわらず、親族や知人が情義から軽い気持ちで引き受けることが少なくない契約です。そこで、書面にすることで保証人の意思を明確にし、慎重な判断を促す、という趣旨で置かれた規定と一般に説明されます。口頭でのやりとりしか残っていない保証は、債権者にとって効力を主張できない、という点が実務上のリスクです。

契約自由の原則は、保証の内容を決める場面でも前提になります。保証人に負担させる範囲、期間、複数の保証人の関係などは、法令の制限内で当事者が決めてよいのです。ただし、その制限は、極度額の規律や情報提供義務の規定など、個人保証人を守る方向に設けられています。契約の自由度は、保証人が個人か法人か、債務が事業のためか否かで、狭まったり広がったりします。

確認の問いと理由保証条項を書く前に確かめること

  1. 保証人は個人か、法人か。

    個人なら、極度額・公正証書・情報提供の規律を検討する必要がある。法人なら、求償権の保証との関係に絞って検討できる。

  2. 保証する債務は特定の債務か、一定の範囲に属する不特定の債務か。

    不特定の債務の保証は根保証であり、保証人が個人なら極度額が要る(465条の2)。

  3. 主たる債務は事業のために負担する債務か。貸金等債務か。

    事業のための貸金等債務なら公正証書(465条の6)、事業のための債務なら情報提供(465条の10)の検討が必要になる。

  4. 保証は連帯保証か、通常の保証か。

    連帯保証なら催告の抗弁・検索の抗弁がなく、請求の順序が違ってくる(454条)。

  5. 保証人は何を見て、何に署名するのか。

    書面から保証の趣旨が読み取れなければ、効力が争われる。

起きがちなこと

保証契約でよく見られるつまずき

  • 契約書の末尾に保証人の署名欄が一つあるだけで、保証人が何に対して保証するのかが書かれていない。
  • 「一切の債務を連帯して保証する」と書いてあるが、個人が保証人なのに極度額の記載がない(民法465条の2第2項により効力を生じないおそれ)。
  • 極度額の欄はあるが、金額が空欄のまま署名押印だけがされている。
  • 事業のための借入を個人に保証してもらうのに、公正証書による保証意思の確認を経ていない。
  • 主たる債務者が保証人になる人に財産・収支などを伝えておらず、その事実を債権者が知っていた、あるいは知ることができた状況にある(民法465条の10第2項により取り消されるおそれ)。
  • 保証を頼まれた側が「名前を貸すだけ」と受け止めており、書面の内容を読まずに署名している。
  • 連帯保証と通常の保証の違いが契約書に明確に書かれていない。

よくあるご質問

保証契約は口約束でも成立しますか。

成立しません。保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされます(同条3項)。口頭で「保証する」と言っていても、書面または電磁的記録がなければ、保証の効力を主張することは難しくなります。

連帯保証人と通常の保証人では、何が違いますか。

通常の保証人には、債権者が履行を請求してきたとき、まず主たる債務者に請求するよう求める催告の抗弁(民法452条)と、主たる債務者に資力があり執行が容易だと証明して先に執行を求める検索の抗弁(同453条)があります。連帯保証人にはこの二つがありません(同454条)。そのため、債権者は主たる債務者に請求せずに、直接連帯保証人に請求できます。

個人が保証人になる場合、必ず極度額が必要ですか。

保証する債務が「一定の範囲に属する不特定の債務」である根保証のときに必要です(民法465条の2第2項)。たとえば賃貸借の賃料債務を契約期間中を通じて保証する、継続的な取引から生じる代金債務を保証する、といった場面です。特定の貸付金の返済だけを保証するような、債務が特定している保証では、極度額は要りません。

事業のための借入の保証には、必ず公正証書が必要ですか。

保証人になろうとする人が個人で、事業のために負担した貸金等債務の保証である場合は、原則として必要です(民法465条の6)。ただし、主たる債務者が法人である場合のその理事・取締役や議決権の過半数を有する者、主たる債務者が法人でない場合のその共同事業者や事業に現に従事する配偶者などには適用されません(同465条の9)。詳しくは事業の借入の個人保証を扱うページで説明します。

保証人が法人の場合は、個人と何が違いますか。

期限の利益喪失の通知(民法458条の3)、公正証書による保証意思の確認(同465条の6)、契約締結時の情報提供(同465条の10)の三つは、保証人が法人であれば適用されません。個人根保証の極度額(同465条の2)も、法人が保証人のときには働きません。ただし、法人の根保証で極度額の定めがないときは、その求償権を個人が保証する契約が効力を生じないとされる点(同465条の5)に注意が必要です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の保証契約への当てはめは、契約書の文言、主たる債務の内容、当事者の事情によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や取引を示すものではありません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。判例や所管官庁の資料は、原文を確認できたものだけを取り上げています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 国土交通省 / 金融庁

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